ネット世論 2010 9 11

書名 知らないではすまない中国の大問題
著者 サーチナ総合研究所  アスキー新書

 日本では、ネット世論で政府が動くことはありません。
国民も、ネット世論で政府を動かそうとは思っていません。
政府に不満があるならば、選挙によって政府を取り替えれば済むからです。
 しかし、中国は、ネット世論によって政府が動く場合があります。
それは、まるで直接民主制のようにも見えます。
直接民主制は、小さな国では有効でも、
中国のような大国ではリスクが大きいのです。
そのような巨大国家においては、間接民主制が政治的に安定するのです。
 もちろん、将来、ネット世論で政府を動かすという仕組みも、
民主主義制度に取り入れていく必要があると思います。
 しかし、それには、ネット世論の発信者たちが、
すべての情報に通じている必要があります。
情報が制限された状態でネット世論が発達すると、政治的には危険です。
(以下、引用)
 中国のネット世論は、中国人民銀行が、
人民元相場を「弾力的に運用する」と発表した途端、
「米国に屈した」などと批判を繰り広げました。
中国政府や中国人民銀行が為替制度について「弱腰な」発言をするたびに、
同様の批判が燃え広がります。
 ネット世論が人民元の切り上げに強く反発するのは、
米国などの先進国が身勝手な言い分によって、
中国をいじめているという被害者意識があるからです。
 中国人の被害者意識は、人民元問題に限らず、
政治や経済に関する、あらゆる問題において噴出します。
 中国の国際問題への対応を考える場合、
中国人に、そうした被害者意識があることを前提にしないと、
理解に苦しむかもしれません。
(以上、引用)
 人民元の切り上げ問題については、
経済学的に、メリットやデメリットを検討する必要があります。
 それなのに、いきなり「米国に屈した」という論理に飛躍してしまうのは、
かなり政治的に危険です。
 もちろん、日本は中国のことを批判する資格はありません。
戦前の日本には、ネット世論はありませんでしたが、
当時、「激高する世論」に政府も軍部も流されてしまい、
太平洋戦争に突入せざるを得なかった面があるのです。
 当時、「それは、外交で解決する」と言ったら、
激高する世論に「弱腰だ」と批判される状況があったのです。
 なぜ、こうしたことになってしまったのか。
それは、当時の世論が、外国の政治や経済を熟知していなかったからです。
外国の情報が乏しかったのです。















































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